「フランケンシュタイン」の著者メアリー・シェリーの劇的な人生を映画化した『メアリーの総て』が、12月15日(土)から東京・シネスイッチ銀座、シネマカリテほかで全国順次公開されます。
娘として、妻として、母として、そして作家として、どの立場から見ても波乱万丈の、劇的(すぎる)な53年の人生をおくったメアリー・シェリー。
その名前は怪物のもの、という何割かの誤解は解消されないまま、「知らないひとはいない」と言ってもいいほどの傑作ロングセラー『フランケンシュタイン』を彼女が書き始めたのは18歳のとき。
急進的自由主義者で小説家でもある父ウィリアム・ゴドウィンと女性解放を唱えた思想家の母メアリー・ウルストンクラフトのもとに生まれたが、母はメアリーの出産数日後に亡くなり、父が再婚した継母とは折り合いが悪かった。長じて、父のもとに集まる芸術家のひとりだった、パーシー・シェリー(既婚)と恋に落ちるも、ゴドウィンに大反対され二人はヨーロッパ大陸へ駆け落ちをする(継母の連れ子の義妹と一緒に!)
その義妹がバイロンと知り合い(愛人に)、3人はバイロンの屋敷へ。そこで悪天候が続き、持て余した時間を潰すために、それぞれが幽霊話を披露しようとうことになり、それが『フランケンシュタイン』を書くきっかけになる(なんて)!
人生の前半、まだ『フランケンシュタイン』を世に送り出していない10代までの人生だけで、この濃厚さ。
当時(1800年代)は主に、近代科学の発展がもたらす危機や、啓蒙主義が広まるなかでの人間の幸福、孤独についての問題を提起した作品ですが、21世紀の今日まで、つねに「現代の物語」のように読み継がれてきたのは、読まれ方の多様性につきます。
作品名ほどは知られてこなかった著者メアリーの人生を知ると、『フランケンシュタイン』の読み方がまた少し変わるかもしれません。ぜひ劇場で『メアリーの総て』をご覧ください。
そして、『フランケンシュタイン』は「作品内容はよく知っているけど、まだ読んだことがない作品ランキング」があったら、おそらく上位にくるだろうと思われる作品のひとつです。未読の方はぜひこの機会に手に取ってみてください!