現代のわたしたちにとって「ピノキオ」といえば、ディズニーアニメのキャラクターとしてのイメージが強いかもしれません。有名な「星に願いを」のメロディ、無邪気なキャラクターたち......。 しかしその原作、イタリアで1883年に刊行された『ピノッキオの冒険』は、アニメ版とは趣がずいぶん違います。棒っきれから作られたピノッキオは、誘惑に屈してばかり。騒動に次ぐ騒動を巻き起こし、ジェペットさんをはじめ周囲の大人たちを裏切り続けます。作家カルロ・コッローディは、子ども向けの本のなかで、社会の残酷さ、貧困、不正義と不条理をも容赦なく描いているのです。この『ピノッキオの冒険』は子どもたちに大人気となり、イタリアの国民的童話となったのみならず(真偽はともかく「イタリアではどんな家庭にも聖書と『ピノッキオの冒険』はある」といわれるほど)、世界中で260以上の言語に訳され、100年以上も読まれ続けているのです。 今回の読書会では、本書を新訳された大岡玲先生をお招きし、作品が書かれた背景や作家のことについて解説していただき、この「悪たれ小僧」ピノッキオの魅力について、たっぷりと語っていただきます (聞き手:光文社古典新訳文庫・創刊編集長 駒井稔)
Readers Club読書会(Readin Session) #51
アニメとまるで違う! 原作『ピノッキオの冒険』の魅力 大岡玲さんを迎えて